電気機関車は電車と同様、電化区間において架線などの外部電源から電力を受電し、その電力を電動機(モーター)で動力へ変換し走行する。
そのため、後方に連結される客車や貨車には動力装置を持つ必要がない。
このような列車の推進方法を動力集中方式という。
これに対し、一般の電車のように列車の複数の車両に動力装置を分散させる方式を動力分散方式という。
【長所】
・電力のエネルギー源に多様なものを使用することができる。
・エネルギー効率が高く、電力回生ブレーキによって電力を節約できる。
・他の動力に比べて、どんな線路条件でも高速運転が可能で、とくに急勾配の登坂の速度特性に優れている。
・排気ガスやばいえんを発生しないので、沿線や客室を汚染しない。
・車両維持費が安く検査や修繕が容易で省力化が可能。
【短所】
・使用範囲が電化区間に限定される。
・路線の電化設備投資が高価なので、輸送量の少ない区間や長い区間では普及がむずかしい。
・地上電気設備が故障すると全域が運転不能になる場合がある。
・構内での入換えや除雪のように、低速を続けたり、架線がじゃまになる作業には向かない。
通常、蒸気機関車より電気機関車の方が高性能とされている。
重量や容積効率の面で有利なことから、運動エネルギーに変換される以前のエネルギーを自車に蓄えず、架線から随時供給される為に余分な重量となる炭水車や大きなボイラーが不要となる。
しかし、過去には異論があった。
電気機関車の動力源の特性上、電圧制御でトルクを抑えた状態で起動し、加速と共にトルクを最大値にする必要がある為だ。
これに対して、蒸気機関は起動時から最大トルクを発生させることができる。
最高速度(最大出力)においては電気機関車に有利であっても、重量級列車の牽引に当たってそれほど差異はないという意見もあった。
この論議に決着をつけるべく、新鶴見機関区において、EF15形電気機関車とD51形蒸気機関車を背中合わせに連結して、綱引きの要領による起動力比較が行われた。
結果はEF15形の圧勝であった。
以降、性能は蒸気機関車のほうが上という論調はなくなる。
電気を架線などから機関車内へ取り入れ、電動機を回転させて走行する。
取り入れる電源の種類により、直流電気機関車、交流電気機関車、交流直流両用電気機関車に分類されるほか、蓄電池を使用した蓄電池電気機関車というものもある。
直流電源を使用するのが一般的であったが、大電力を送電できる交流電源を使用するものが実用化された。
電動機から出力された動力は、一般に歯車によって減速され車輪に伝えられる。
制御方式は、直流用や交流直流両用では、抵抗制御と直並列組合せ制御が一般的。
交流用では一般的な低圧タップ制御のほか、整流器の機能を活用した無接点式のサイリスタ位相制御なども使用される。
交流用機関車では、出力電圧を連続的に変化させることができるため、直流用に比べて少ない動軸数で同等の粘着性能を発揮することができる。
近年では、かご形三相誘導電動機を用いたVVVFインバータ制御を用いた大出力のものが多くなっている。
ヨーロッパでは特に、電動機や制御器数の増加を嫌い、日本に比べて電車が普及していない。
長距離列車は機関車の牽引する客車列車となっている。
このため、各国共に電気機関車の製造には力を入れており、フランス国鉄・スイス国鉄・ドイツ国鉄などでは、強力で高性能な電気機関車が200キロ以上の高速で運転され活躍している。
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